金融機関が融資を行う上において実務上で重要となるのが、企業の実態把握です。実際その企業の中身はどうなっているのかを知らなければお金は貸せないからです。

金融機関は、取引先の実態を把握するために「企業概況表」「取引先概況表」「信用調査書」といった名前の「実態把握シート」を作成します。

この実態把握シートに加え「財務分析」「担保・保証の状況」「他行取引の状況」「取引履歴」などの資料をもとにして融資を決定します。

事業の実態を把握するために

事業の実態を把握する(実態把握シートを埋める)には以下のことを知る必要があります。

  1. 事業概要
  2. 商流と業務フロー
  3. 市場・業界の特性と動向

これらの現状を把握した上で、御社と競合企業との比較を行います。競合に比べて勝っている点が多ければ成長・発展する確率が高いと考えられ、融資はスムーズに行われるでしょう。

しかし現在、金融機関においてこの実態把握が十分に行われていないケースがよくあります。以前にもお伝えしましたが、業務の増加や人手不足により、担当者の情報収集能力が低下しているからです。

不十分な情報で融資審査を行えば、マイナスの材料が目立つことにもなり、その案件に対しての融資判断は厳しいものにならざるを得ません。

そうならないように日頃からできることは、企業側から積極的に資料を提出することです。

御社についての正確な実態把握をしてもらうように動きましょう。

 

1,事業概要

御社の事業概要を把握してもらうために、金融機関に伝えるべき情報は次の8点です。

1,業種 5,後継者の有無
2,取扱商品・サービスの内容と売上構成 6,経営理念、ビジョン・経営方針
3,会社所在地・規模・立地状況・所有・稼働状況 7,株主構成
4,経営陣の経歴・関係・人物像 8,沿革

これらの情報は金融機関が当初から把握していることがありますが、例えばその一部が更新されたとき、新しくなった情報までは共有されていないことがほとんどです。

定期的に更新情報を「文書」できちんと伝えておきましょう。

事業概要を把握してもらうための資料として、「商業登記簿謄本」「定款」「会社パンフレット」「組織図」「商品カタログ」「ホームページのプリントアウト」を提出すれば、御社への理解はより深まります。

 

2,商流と業務フロー

商流と業務フローを把握してもらうために、「商品・サービスの内容」「事業の特徴」「仕入先」「販売先」「取引条件」「儲けのしくみ」を伝えておきましょう。

これらを業務フロー表という図にして渡すことで、金融機関による実態把握がスムーズにできるようになります。

 

3,市場・業界の特性と動向

担保・保証に限らず、「将来性」を見てもらう「事業性評価融資」を希望するなら「市場・業界の特性と動向」に基づいた競争力の評価をしてもらう必要があります。

そのためには自社の経営分析を行い、その分析結果を提示しましょう。

手法としてよく使われるのは「SWOT分析」です。

強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の頭文字をとってSWOTです。

特に御社の「いちばんの強み」はなんなのか、また放置しておいてはいけない「致命的な弱み」はどんなことかをあげてみましょう。また、その強みを活かして市場にどう打って出ればいいのかを考えてみましょう。

 

まとめ

金融機関から融資を受けたいなら、御社のことをよく知って貰う必要があります。

しかし、放って置いても金融機関のほうからヒアリングしに来てくれるということは期待できません。企業の側から事業の概要、仕事やモノの流れ、強み弱みと市場の動向をまとめて、積極的に情報提供していきましょう。

必要な情報を先回りしてこちらから渡すことで、好印象にうつるでしょう。