金融機関と上手に付き合っていますか?

銀行をはじめとする、特に地域密着の金融機関の融資に対する姿勢はここ数年で変わりつつあります。現在の金融機関の融資の方針は、積極的に貸し出す方向に転換しているところです。

積極的に貸し出す方向というのはどういう意味かというと、
これまで金融機関は、対象の会社の決算書の内容や保証・担保だけで判断して、貸すかどうか・いくら貸すのかを決めていました。単純に今現在ある数字やモノだけで判断していたイメージです。

しかしこれからはそうではなくて、事業内容や成長の可能性なども評価して判断しようというのです。
つまり現在だけでなく未来とその過程にも注目して判断しようということです。

この記事では、方向転換しつつある金融機関の方針と、そのポイントついて詳しく説明していきたいと思います。

金融庁の指導方針の変化

まずは少し金融機関を取り巻く環境ついて説明します。

世の中の金融機関は、金融庁の監督下にあります。
数年前に銀行を舞台としたドラマが大流行しましたので、ご存知のかたも多いと思います。あのドラマのとおり、金融機関はさまざまな言いたいことを抱えながらも金融庁の指導方針に従って業務を行わなければならないのです。

これまでその指導の達成手段として使われていたのが、
その名も「金融検査マニュアル」というものでした。

この金融検査マニュアルでの指導が、前述したとおり、決算書の内容や担保、保証人で格付けし、格付けの高い会社にのみ融資しなさい。というものでした。
ですから以前は、債務超過だったり、2期連続赤字だったりという会社はなかなか融資をしてもらうのが難しかったのです。

有名な「銀行は晴れの日に傘を貸して、雨の日に取り上げる」という格言でいうところの、雨の日の会社は傘を貸してもらえないということです。

しかしながら、7割の中小企業が赤字と言われる今、そんなことをしていたら金融機関はほどんどの企業に対してお金を貸せなくなってしまいます。
ご存知の通り金融機関は顧客である企業にお金を貸して、その金利で儲けているのでお金を貸せないという状況は困るわけです。

そんな中、2016年に金融庁が「金融仲介機能のベンチマーク」という指標を公開しました。そして2019年3月に従来の「金融検査マニュアル」は廃止されました。

今後、この「金融仲介機能のベンチマーク」をもとに金融庁は金融機関を指導監督することになったのです。この指導方針には2つの柱があります。

「事業性評価融資」と「本業支援」です。

事業性評価融資とは

事業性評価融資とは、決算書の内容や担保や保証人だけで判断するのではなく、その会社の事業内容や成長可能性などを評価して融資することです。

これにより、いままで赤字決算や債務超過で借りられなかった企業が、自社の今後の成長可能性を金融機関へアピールすることで、融資してもらえるようになる、はずです。。。

金融機関のジレンマと解決策

しかしながら、実際には金融機関は事業性評価融資をそれほど積極的には行えずにいます。
事業性評価融資を行うためには、取引先の企業に対して今の事業の内容や、将来性、成長可能性を把握する必要があるのですが、多くの金融機関はその実態を把握できていません。

これまでは決算書と担保だけ見ていれば、企業の内容など知らなくても融資の判断ができていたため、事業内容などのつっこんだ情報を収集できていないのです。また、これから情報を集めようにも、金融機関の担当者は情報収集をやったことがありませんし、どこの支店も人手不足により、今までやってこなかったことに新たに時間をかけられません。

それでも金融庁からは「事業性評価融資」を積極的に行いなさいとの強い指導がきています。また、融資をしなければ金融機関としての儲けもだせません。

ここで解決策です。

中小企業の皆さんとしては、金融機関に対して、積極的に自社の情報を提供するのです。
今は赤字で厳しい状況の会社はもちろんのこと、たとえ今は赤字でなくて、資金が必要ではない会社も、とにかく事あるごとに細かく、自社の事業内容、資金の状況、先々に考えている設備投資の予定などをドンドン自ら金融機関に提供するのです。

これにより金融機関との距離がグンと近づきます。自社のことをわかってくれていますから、金融機関としても他の提案ができたりするのです。
それが金融庁のもうひとつの指導方針の柱、「本業支援」です。

本業支援とは

本業支援とは、取引先の企業の付加価値を高めるためのお手伝いのことです。つまりお金を貸す(融資)だけではなく、直接その企業の仕事につながったり、経営の課題を解決したりすることです。

金融機関には多くの顧客がいます。その中には企業同士つながったらなにか新しいことができるような技術を持った顧客や、一般的には難しいような課題解決をしてくれる専門家もいることでしょう。

金融機関は、直接は取引先企業の仕事を手伝ったり課題解決をしたりというサービスはありませんが、顧客同士とか、専門家を紹介することはできるでしょう。
金融庁もそれ(紹介するだけ)でいいと指導しています。

金融機関としては本業支援をできる専門家を紹介するだけで、金融庁からは評価され、顧客満足につながりことにもなるのです。
取引先の企業がこのことで業績が上がれば、新たなる投資案件がうまれ、融資の話にもつながる可能性があります。

このことから多くの金融機関は、取引先に対して他の顧客や専門家を積極的に紹介しようとしています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今、金融機関は金融庁の指導方針の変化により、「事業性評価融資」と「本業支援」を積極的に行いたいのです。

そのためにはまず、中小企業の皆さんの方から自社のあらゆる情報を提供し、金融機関にアピールする必要があります。

そうすることで金融機関との距離も近づき、融資をうけやすくなるばかりか、自社情報が重宝されて思わぬ紹介が舞い込んだりするかもしれません。

ただし、金融機関とのお付き合いも結局人と人のつながりです。今日の明日というような即効性を狙うのではなく、コツコツ半年ぐらいかけて毎月報告に通いましょう。